不動産の耐用年数

不動産の耐用年数には、「物理的耐用年数」「法定耐用年数」「経済的残存耐用年数」があります

 

物理的耐用年数

構造物の仕組みだけでなく、材質の品質が維持できなくなるなど、建物そのものが劣化して
使用できなくなるまでの年数を示します

通常、雨漏りが無く湿度に耐えうる材料ならば100年以上もちます。

天然木材(杉、ヒノキ)はこれにあたります。

合板(コンパネ等)

野地板の耐用年数は大体20年~30年と言われています

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野地板にコンパネを使用しているのが現代建築です。

雨漏りが無く、地域的に乾燥している内陸部は50年は持ちますが、離島となると10~15年で接合に使用している接着剤が剥離します。

合板を使わずに天然材の板を使用している所が多いです。

合板(3×6)91cm×182cmを使用するのが現代建築ですから雨漏りが有った中古住宅はほぼ価値がゼロです。

壁のシミ、外壁のキレツ、などを手掛かりに査定します。

寒冷地においては、屋根雪の「差し水」、結露によるシミも考慮にいれて査定します。

通常、軽く叩いてみると「ボコボコ」と張りの無い音が伝わってくれば合板は耐用年数を超えていますね。

屋根の作りも影響を受けます、簡単な片流れの屋根などが雨漏りがしにくいです

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使用している屋根材

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耐震性の向上のためには、屋根材は軽くて対候性があり施工しやすい材料がベストなのは言うまでもありませんが、重厚には見えません。

 

屋根の型は片流れ、切妻くらいがよいでしょう、

材料はガルバニュウム鋼板、人工スレートが人気があります。

台風などの大風には簡単に修理が出来るアスファルトシングルが過去には人気がありました。

現在は大風の被害が無いように軒の所で巻き込んだ工法も出来ています。

 

******経済的耐用年数

法廷償却

日本では固定資産は法律で償却年数が決められています。

中古住宅はこれに準じて売却時の価格が決定されます。

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中古住宅は22年+4年経過していると住宅価格は建築時の10%の価格になります、しかしリフォームが出来ないほどの荒れ具合ですと、実際には壊す経費分だけマイナス価格になります

******減価償却の計算方法

木造住宅の減価償却費は、次の計算式によって求めます

減価償却費=建物部分の取得価額×0.9 ×償却率×経過年数

償却率は建物の構造で決まっています。

  • 木造:0.031
  • 軽量鉄骨:0.025
  • 鉄筋コンクリート造:0.015

******これを解説すると

残存価格10%を残して、毎年3.1%償却して行くことになる。

1600万円で建築した一戸建てを10年たって売却したとすると

 

1600万円×0.9(残存10%の残り)×3.1%(0.031)×10年=446万4千円

売却価格は1600万円-446.4万円=1153.6万円

20年経過していると892万8千円ですから

売却価格は1600-892.8=707万2千円

 

耐用年数の22年経過していると617万200円

 

******22年+4年経過していると

上記の計算方法ではなくて残存価格の1600×10%で160万円です。

が、取り壊しが必要となりますので実際の取引ではほぼ0円と言うことになります。

 

途中でリフォームしていると、リフォーム費用を減価償却するのですが、建物の寿命が延びるようなリフォームと簡単なリフォームではかなりの差が出ます。

簡単なリフォームではリフォーム費用などは修理費とみなされて原価に組み入れません。

 

中古物件はとにかく雨漏りが重要な問題となります。

この時の修繕費はリフォームとは計算しない場合がほとんどです。

実際の話ですが

地方の住宅では土地価格の下落が進んでいたので不動産投資は赤字が酷い状態でした。

 

管理人が中古住宅を購入して、借家として賃料を頂いたあとに売却しましたが、初期投資費用の90%しか回収できませんでした。

リフォームして売却した方が良かったのですが

遠くでロハスな生活をしていて帰京予定が無かったので売却してしまいました。

 

その当時の20年の間に路線価は半額になっていたのです。

つまり土地代は半分まで減損したのですね。

初期投資の90%まで回収できたのは良かった方です。

 

******木造住宅の耐震基準

建築基準法の“新耐震基準“をもとに建築された木造住宅は、震度6強~7に達する程度の地震であれば、建物にある程度の被害はあっても倒壊・崩壊までは至らず、震度5強程度の地震であれば、建物の機能を保持できるように設計されています。

 

これは最新の建築基準法の元に確実!に施工された時です。

過去、建築基準法は改定されています。

1950年に建築基準法が制定されました。

1959年に改正(防火基準の強化)

1971年建築基準法施工令改正

1968年の十勝沖地震を教訓に改正

1981年新耐震基準で大改正

1987年建築基準法改正(木造3階建て可能)

1995年改正(接合部に接合金具の奨励)

2000年改正(地盤調査義務化)耐震基準強化

2006年改正耐震改修促進法制定

 

2000年以降の木造住宅とそれ以前の住宅では

中古住宅の価値に差が出るようになった。

リフォーム前提ならば、2000年以前の建物が安くてよいのだ。

リフォームせずに住むのなら2000年以降の建物がおすすめです。

 

つまり2000年以前の建物を中古住宅として売却するには、業者ならリフォームする必要があるのです。

仮に媒介で売却するにしても説明責任が付いてきます。

 

3階建ての中古住宅で1987年の改定直後当たりの建て物ですと耐震に大きな不安があります

この物件だとリフォームするより壊した方が安くなりますね。

 

******耐震基準で大きく差がつくのは

縦揺れです。

従来は地震は横揺れに対応するというのが考え方でしたが、直下型地震の発生が多くなり縦揺れで木組みの部分が抜けた後に横揺れが到来して倒壊する事故が確認されました。

 

従来は建物の重量で木組みの柱が基礎から抜けないように考えられていたのです。

当然、縦に持ち上げられると基礎材(基礎コンクリートに固定)から柱が抜けてしまいます

其処に横揺れが襲ってくのですから簡単に倒壊してしまった事例が多く確認されて建築基準法の大改訂が行われました1981年のことです。

 

その後も耐震試験(大がかりの試験設備)が繰り返されて、耐震金具が出来上がりました。

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多くの耐震金具が開発されて、いまではホームセンターで売られています。

 

これらの耐震金具を全ての柱に取り付けて、壁材を構造用合板にすれば1階建ての木造住宅なら地震への耐性は十分です。

 

この耐震金具の取り付けは大変に手間のかかる作業です、手拭き工事が行われることが多く

監修の為の建築基準法が改定されたのですが

耐震金具の取り付けが一般的となったのは近年です。

それまでは一般の大工仕事で取り付けされたのはほぼありません。

 

******実際の事です

建築基準法が守られていないアパートが大問題となりました。

某〇〇パレスという会社です。

屋根裏に必要な防火壁が無い!

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アパートですから、各部屋が独立している必要があります写真では界壁がありませんね。

手抜き以外の何物でも無い!

火災が起きれば屋根裏で火が回ります、

 

リフォーム業社全体が手抜きをするとは言いませんが、普通に手抜きはします。

 

新築でも「注文住宅」は危ないです。

標準住宅なら問題は少ないのですね、アメリカの住宅には必ず「建築履歴」があります。

ほぼ全ての住宅に備わっています、これが無いと価格が安く(半分は大げさですが3割安)なります。

新築からリフォームまで全ての履歴が写真付きで本のようになって存在しているのです。

 

住宅を買うとなると大変な仕事になりますがね

 

何処に住むか(災害耐性)

環境は(学校、病院、通勤、交通の便)

特に、高圧電線の近くは注意です。

台風の水害、大風、近くに工場があるなら

なにを作っているか( 大阪泉南アスベスト訴訟について
 大阪泉南アスベスト訴訟は、大阪府南部・泉南地域の石綿アスベスト)工場の元労働者やその遺族の方々などが、石綿による健康被害を被ったのは、国が規制権限を適切に行使しなかったためであるとして、損害賠償を求めた事案です。)

この案件は周りに住んでいた住民までも中皮腫を発症してしまいました。

過去に地盤が沈んだとか、地滑りが近くで起きたとか。

古い建物が多くあり、長年住んでいる方がいれば問題は少ないです。

   大阪泉南アスベスト訴訟について
 大阪泉南アスベスト訴訟は、大阪府南部・泉南地域の石綿アスベスト)工場の元労働者やその遺族の方々などが、石綿による健康被害を被ったのは、国が規制権限を適切に行使しなかったためであるとして、損害賠償を求めた事案です。